遺言書作成サポート

相続人以外の第三者に財産を譲りたい場合

 ある人が死亡した場合、遺言書がなければ、通常法定相続人が財産を引き継ぎます。

 ただし、法定相続人と疎遠であったり絶縁していたり、仲が良くないなどの事情により、例えば自分の面倒を見てくれている友人に財産を残したい場合、慈善団体などに寄付したい場合などは、遺言にその旨を記載することによって実現することが出来ます。

 ただし、相続人以外の第三者に財産を遺贈する旨を記載した遺言書を作成しても、遺言者に配偶者、子、親などの相続人がいる場合には、遺留分(相続人が一定割合の権利を主張できると定めた制度)があるので「遺留分減殺請求(一定割合を請求すること)」ができます。

 遺留分は減殺請求をして初めてその権利を取り戻すことができるものなので、遺留分の減殺請求がなければ遺言の内容のとおり遺贈が出来ますが、後で争いが起きないよう、遺留分には十分配慮して遺言書を残すことをお勧めします。

 遺留分減殺の請求は相続が開始したこと及び遺留分を侵害する遺贈又は贈与があったことを知ってから1年以内にしなければなりません。

 このような場合の参考となる遺言の記載例として、「法務太郎に、推定相続人として長男・法務一郎がいるが絶縁状態にあるので、面倒を見てくれている中野良人に全財産を残したい場合」を以下に記します。

記載例)お世話になった第三者に財産を遺したい場合

遺 言 書


    遺言者法務太郎は、次のとおり遺言する。


  1 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を中野良人(昭和○○年○○月○○日生、
    住所 神奈川県〇〇市〇〇町1丁目2番3号)に遺贈する。


  2 遺言者は、上記中野良人が遺言者と同時もしくは遺言者より先に死亡したときは、遺言者
    の有する一切の財産を下記の団体に寄付する。
    団体名・所在地など(省略)


  3 本遺言を執行する遺言執行者として、上記中野良人を指定する。上記中野良人が遺言者
    と同時もしくは遺言者より先に死亡したときは、司法書士○○を遺言執行者に指定する。


 ※ あくまでも一例です。実際の遺言書作成にあたっては、ご事情に合わせた内容を検討したうえで、遺言書としての要件を整える必要があります。